「皐月っ!!!」




呼び止めたが、皐月は止まってはくれない。



走って追いかけたかったが、足の自由が利かない。




「ちょっ……皐月ぃ!!!」




俺の代わり、というわけではないが、冥ちゃんは皐月を追って病室を出ていった。



残された俺と莢の間に短い沈黙が起こる………





「な、何があったんだろ…?」




莢は、この沈黙を破ろうと、しぼりだすようにつぶやいた。



しかし、俺は答えることができなかった。




当然だ。


俺だって混乱している。




「……………」





考えても考えても、意味がわからない。



さよなら?



何だよそれ………




まるで、本当に………





俺はそこで思考を止めた。



これ以上考えると、俺はとんでもない仮説をたてそうだったからだ。