「そういえば、皐月、遅いなぁ………」




なかなか帰ってこない皐月を心配し、冥ちゃんがちらっと時計に目をやった。



たしかに………遅すぎる。




そもそも親父の話って何だ?



あの親父のことだ…




ろくな話ではないのはたしかなんだが………






ガラガラ…




そのとき、病室のドアが開いた。




「あっ!皐月っ!!


も〜、なかなか帰ってこないから心配し………?」




そこで冥ちゃんは固まった。



あきらかに皐月の様子がおかしかったからだ。





「ど、どうしたの…?」




しかし、皐月は冥ちゃんの言葉が耳に入っていないのか、答えずに、無言で俺の側まできた。




「………皐月?」




俺はとりあえず名前を呼んでみた。



しかし、案の定反応はない。