そんな時だった………



練習終了後、私がキーパーを
洗っていると………


誰かが洗剤をひょいと奪った。






「皐月ちゃん♪
明日ヒマかな?」



「………え?」




「よかったら
水族館でも行かない?

たまたまチケットが
二枚あるんだ♪」





楽しそうに話しかけてきたのは
蓮君だった。


突然のことに私は戸惑い、
しばらく固まった。






――何で………
蓮君が私を………?







「ダメ………かな?」





蓮君が少し寂しそうな瞳で
私を見た。


思わず私の心臓は高鳴る。




――………冥には悪いけど………


ちょっとぐらいいいよね…?





「うん…大丈夫…」




私はできるかぎりで微笑み、
蓮君に頷いた。



すると、蓮君の表情はぱあっと
明るくなった。




「よかったぁ………
断られたらどうしようかと思ったよ………」




「蓮君なら誰でもオッケーすると思うけど…」




「いや、こういうのってやっぱり緊張するもんだよ…、特に………ね?」





蓮君はそう言って微笑み、
手を振って帰っていった。




――……特に?
特に何が………?