「そりゃ、誰かいるんだろうけどさ」

『人かどうかは、分からんぞ』

 蒼馬の呟きに、太刀風は険しい顔で答える。

「人じゃないって、じゃあ何なのさ」

 怪訝そうな蒼馬に、太刀風は周囲を警戒しながら言う。

『食われし者じゃよ。力に魂を奪われた侍の成れの果てとでも言おうか』

「そいつが、無軌道に人を襲ってるのか?」

『憶測じゃがな。姿を見せずに人間を空に舞い上げるなど、他に説明がつくまい』

 太刀風の言う通りだ。

 サバイバーなら、人間を宙に浮かせるくらい容易い。

「とにかく、このままだとオレもやられる。太刀風、武装だ」

『承知!』

 蒼馬の体を一瞬青白い光が包み、直後武者鎧になる。