「金を払うって言う義務も果たせない奴になぁ~、飯を食うって言う権利は与えらんねーんだよ」

男は周りのテーブルを押しのけて一直線にヴィンセントに近づき胸ぐらを掴んだ。

「もっぺん言ってみろ、このガキ!!」

カチャリ……

男の額に冷たい物が押し付けられた。

「金を払って俺の視界から失せろ!!おっさん」

後ろの二人が銃を手に取ろうとした時、ヴィンセントの胸ぐらを掴んだ男は腕をあげて止めろと合図した。

男がポケットから金を取り出すとカウンターに置いて黙って出ていった。

後ろの二人も慌てて後を追う。

店を出た所で二人は男を問いただした。

「何で払っちゃったのよ、殺っちまえば良かったじゃね~か」

「そうだよ、まだ間に合う戻って………」

男は気が付いた、今までずっと一緒に暮らしてきて初めてだった、初めてこの目の前の男が鳥肌を立てているのを見た。

「俺たち三人が奴の頭に鉛の弾を撃ち込む前に奴が俺達の額に弾を撃ち込む…………、やばいのが来ちまった、この事はしばらくブラインド様には黙ってろ」

その後二人は無言で帰った。