「ノラちゃん、1人で寂しくないの?」


猫は薄目を開けてこちらを見ながらムクッと起き上がって、体を伸ばしながらあくびをした。


「ノラちゃん聞いて…私ね、お母さんと喧嘩をしちゃったの…」


猫は手で顔を撫でたり背中を舐めたり毛づくろいを始めだした。もちろん、猫だから話を聞いてるわけじゃない。でも、私は胸のモヤモヤを誰かに話したかった。


「お母さんってね、ヒドイんだよ。私の意見なんて無いの。私はお兄ちゃんじゃないからできない事もあるのに……毎日毎日、勉強勉強って…耳がおかしくなりそう。」


猫はまた大きなあくびをした。


「お前は嫌な事や辛い事は……なさそうだね。猫だもんね。」


猫は耳の裏を掻きながら私を見つめる。私が手を伸ばして猫の頭を撫でようとした時だった。