公園の前を通りすぎようとした時、何となく滑り台に目をやった。タコの形の滑り台下に猫が1匹いるのが見えた。


「あのノラ…よく見るな…」


滑り台の下にいる猫は、雨にも濡れずに渇いた毛をフサフサさせながら、イビキをかいて寝ていた。顔は潰れたみたいに真っ平らで、色もグレーなのか白なのかはっきりしない色。デブで真ん丸でノラ猫だとは思えない、割腹と存在感だった。



時々、近所で見かけるけどこんなにまじまじ見たのは初めてだ。見れば見るほど…可愛くない。



近寄って猫の前に座って話し掛けてみる。


「ねぇ…ノラ…」


チラッと目を開けてこちらをギロッと睨むと、またぶっきらぼうな顔で眠りについた。私はクスッと笑ってまた話し掛ける。