扉に一歩足を踏み入れると、突然目の前に立っていた少年が手に持っていた花瓶を私に渡してきた。


「お姉ちゃん!!はい!!」


「えっえっ…は!?」


大朔を見ると何も知らないような顔で私から離れて行った。


「ちょ…大朔!!」


「ニャ〜」



…………。



遠くから声がする。大勢の大人が叫びながら走って来た。「待てー!!」「オラー!!止まれー!!」慌てた私はとっさに道を開けたけど、なぜかみんな私の前で立ち止まった。


「えっ……!?」


足元を見渡しても大朔はいない。


「お嬢さん、その花瓶を返しなさい。」

1人の男性が話しかけて来た。