帰るであろう時間を知っているわけだから、きっと貴弘は私の帰りを待ってるだろう。
考えただけでも気が重くなる。

だからと言ってこの事態から逃げられるわけでもない。
結果的には自分で蒔いた種だ。
出た芽は自分で摘むしかないんだ。

翔は私の様子を見て心配してるふうだったけど、その男が誰なのかとか説明するのも違うと思った。

“何ともない”そう言って軽くあしらった。

仕事に戻ってからも、貴弘が待っているということが頭から離れなかった。
少しの恐怖さえあった。
理由はない。
ただ貴弘に会うことが怖いと思った。
良くないことが起こりそうな…。

単に私の勘だけど。