テーブルに置かれた携帯を手に取り、カチカチとボタンを操作する。

「さようなら、貴弘くん。」

画面に表示されたアドレスを一件削除した。

それと同時に着信音が鳴った。
“翔”と表示されている。
通話ボタンを押して、ぶっきらぼうに言った。

「何?」

「今さ、実々の家の前なんだけど、ちょっと寄っていい?」

「ふ~ん…、鍵開いてるから。」

「了解!」

そう言って相手は電話を切った。
私は服を着る為に寝室に向かった。

Tシャツに腕を通そうと思ったときにリビングのドアが開かれた。

「うわっ!なんて格好だよ…。てか、またですか?」

寝室の扉は開けっ放しだった為、相手の目にはパンツ一枚とTシャツに腕を通しかけた無様な格好の私が映っている。

「アンタには関係ないし。」

私は急いで着替えた。