「……実々………実々………」

遠くから誰かの声が聞こえる。

でも、一体誰が私を呼んでいるのか、辺りを見渡しても姿はなくて聞こえるのは声だけ。

その声のする方に歩いていく。
どこまで行けばいいのかわからないけど、とりあえず歩く。

小さな光が見えて、そこには誰かいる。
逆光でよくわからないけど…。

「おいで。」

そう言った。

でも怖くて後退りした。

「怖がらないで。大丈夫。」

その人物はそう言ったけど、やっぱり怖くて思い切り走った。

どれだけ走ったかわからないけど、疲れてそこに座り込んだ。

息切れを整えようとすればするほど、余計に苦しくなってもう、空気を吸うことさえ出来ない。

このまま死ぬのかななんて思った。
それでもいいや。

そうすれば楽になれる。

苦しくてもがきながらも、そう思った。