扉の前で一つ、大きな深呼吸をする。
どんな顔で沙也加に会えばいいのか一瞬戸惑った。

インターホンを押すと、すぐに目の前の扉が開かれた。
昨日会ったばかりなのに、なんだかすごく懐かしいと思った。

「ごめんね、昨日会ったばかりなのに。」

そう言って申し訳なさそうに笑った。

「いや…。」

家の中に入るように促され、テーブルの前に座った。
沙也加は、お茶を入れたグラスを二つ持って、テーブルを挟んで向え側に座った。

グラスを持つ手が少し震えてるように見えたが、気のせいだろう。

少しの沈黙が続いた。

その時間がものすごい長い時間に思えた。