「………悪いけど、私はアンタと一緒にいたくないし、好きになることもないから。そういうの、彼女に言ってあげたら?気持ちはありがたく受け取っておくけど…。」

「……そっか…。今まで楽しかったよ。ありがとう…。それでも俺は、実々が好きだよ……。」

俯いたまま、立ち上がり、玄関に向かって行った。
パタンとドアが閉まる音がした。

はぁっと深い溜め息をついた。
これでいい。自分に言い聞かせた。
前の私ならきっと貴弘の気持ちに答えようと、悩んだだろう。
でも、今の私には無理なんだ。
あの頃の気持ちは捨て去った。
夢みがちで、愛とか恋とかを信じてやまなかった。
愛があればそれだけで生きて行けるなんて思ってたっけ。

バカバカしい。笑えるよ。

でも、なぜだろう。
あの頃の私は今の私からはキラキラ輝いて眩しいとさえ思うのは…。