「ははははーっ!罰ゲームねぇ。…黒田実々、お前やっぱ面白い奴だな!」


なんで笑われてるのかわからなかった。
別に私は面白いことを言ったわけでも、坂下諒二を笑わせる為に言ったわけでもない。

でも、いまだ隣りにいる男はクククッと笑っている。


「笑われてる意味がわかんないんだけど。」

「ごめん、ごめん。罰ゲームであんな面倒くせぇこと言うと思うか?何の得もねぇじゃん。」


「じゃあ…なんで?」


「本気で好きだからに決まってんじゃん。」


急に真顔で言うから、不覚にもドキっとしまった。


「でっ、でもそんなの信じられないよ!だって、アンタは私のこと何も知らないでしょ!?それなのに好きなんて………おかしいよ…」


「知ってるよ。黒田実々。16歳。隣りのクラスで、髪が長くて、色白で、性格キツそうな顔してて、オマケに俺より背が高い!」


“なっ?知ってるだろ?”って。
子供みたいに笑った。


「………それって知ってるって言うの?」


「それだけ知ってたら十分だろ!それに、好きになるのに理由なんてねーんだよ。つーかさ、お前、恋したことないだろ?」


恋。
そんなの考えたことなかった。
あの人かっこいいなとか、なんか気になるなとか思ったことはあるけど、好きなんて思ったことない。
恋をする余裕なんて私にはなかったからだ。