あんな告白を真に受ける人なんてこの世にいないと思う。
罰ゲームか何かだったんだと思った。
ちょっと腹立つけど、忘れようと思っていた。
それから、2、3日してから、突然私の教室に坂下諒二がやって来た。
「黒田実々。…この前の返事だけど。聞かせてくれない?」
向うがそうやって、未だ罰ゲームを続行しているなら、私もゲームに参加してやろうと悪戯心が芽生えた。
「私、自分より背の低い男に興味ないから…。」
そう冷たく言ってやった。
坂下諒二は一瞬落胆の表情を見せたが、すぐに真面目な表情で私に、そしてこの教室にいる全員に宣言した。
「黒田実々、お前面白いこと言うな。俺、お前よりぜってー高くなってやる!…お前ら!よーく聞いとけ。俺は、黒田実々よりでっかくなって必ずコイツを俺の彼女にしてみせるから、そこんとこヨロシク!!」
クラス中がざわめき出して、“ヒュ~!”とか“やるなー!”とか冷やかしの言葉が飛んでくる。
そんな声に、坂下諒二は親指を立てて得意気な顔をしていた。
私はというと、この状況についていけず、他人事のように騒ぐクラスメイトを見つめていた。
教室を出て行く坂下諒二はクルッと振り返って私に指さした。
「覚悟しとけよ!」
そう言った。