「これ。お前んだろ?廊下に落ちてた。」
そう言った男の子は、笑顔を向けた。
私と目線が同じくらいで、少し長めのウルフヘア。
色白で笑うとフニャッと顔が崩れて、なんとも愛らしかった。
「あり、がと…。でも、なんで?」
私はこの人を知らないのに、この人は私を知ってるみたいだった。
「えっ?……あぁ。ごめん、俺、C組の坂下諒二っていうんだ。黒田実々、俺と結婚してくれませんか?」
「………………はぁ?」
突然の愛の告白は衝撃的だった。
というよりは意味がわからなかった。
きっと間抜けな顔をしていたと思う。
彼、坂下諒二は私に小さな紙切れを握らせて走り去って行った。
耳まで真っ赤にさせて。
その紙切れには…。
“坂下諒二
S59.9.11
乙女座 O型
162cm 51kg
趣味 ゲーム、マンガ、料理
特技 料理、自転車の早こぎ
0*0-XXXX-XXXX
XXXXXXXX@XXXXX.ne.jp”
簡単なプロフィールと携帯番号とメールアドレスが書かれていた。