だけど、懲りずにまた欲しいなんて思ってしまったんだ。
今なら手に入れられそうな、掴めそうなそんな気がして…。

どうしたらなんて考えてもさっぱりわかんないけど、その為の一歩踏み出す勇気が欲しい。
翔に背中を押してもらいたくて、と言うより、翔にしか私を動かすことが出来ないと思う。

「何、欲しいモノって?」

不思議そうな顔してる翔が私に聞いた。

「………絶対笑わないでよ?」

正直、言うのが恥ずかしい。
こんなこと言うのは少女マンガか何かの主人公くらいしかいないだろう。

「ん?…うん。」

「私が欲しいモノは…………私だけの居場所……だよ…。どんなことがあってもずっと変わらない。」

顔がカァッと赤くなっているのがわかる。
夢見る少女のようなこの発言が、自分の口から出たことが本当に恥ずかしくて、翔の顔を見ることが出来なかった。

「………居場所って、実々の居場所は今だってあるでしょ?」

「えっ?……そんなのないよ。」

「そうかな?実々はただ気付いてないだけかもよ?それにさ、そういうのって欲しいと思って手に入れられるものじゃないと思う。………実々が求めてるモノがどんなのかはよくわからないけど……。」

そう言う翔の顔は優しかった。

翔の言う通り、求めたところで手に入れられるモノではない。
だけど、私のそばにそういったものはないのも事実で、だからこそ手を伸してみたくなった。