「ねぇ、一つ聞いていい?なんでアンタがこの時間にここに居んの?」

そんなことを考えていたらいつの間にか実々がリビングに居た。
バスタオルで髪の毛を拭いていた。

「あぁ~、うん…と。なんか嫌な予感がしたから?」

「ふっ、何それ?意味わかんないし。しかも疑問系…。」

少しバカにしたような表情を見せて、俺の隣りに座った。

「アンタってさ、本当にバカが付くくらいにいい奴だよね。」

「えっ?」

「私が泣きたいくらい辛いときとかには必ず私の前に現れるよね。ウザイくらいに…………でも、そんなアンタが大好きかも…。」

目線はテレビに向けられていて、無表情だった。
“大好き”そんな言葉を実々の口から出たことに純粋に驚いてしまって、開いた口を閉じられなかった。
今まで一緒にいて一度も聞いたことがない。
ましてや自分に向けられているなんて信じられなかった。

言葉が出ない程に嬉しくて泣きたくなった。