~火曜日~
今年の桜は
卒業式には
間に合わないんだって。
私が咲くなと
願ったからかな...?
桜が咲かなくても、
春は来る。
あの日は、
来る。
なのに、
私の気持ちも
間に合いそうにないよ...。
私、
先輩からは、
卒業出来ない。
桜が咲いても、
向日葵が咲いても、
コスモスが咲いても、
何も咲かなくっても。
いつもの様に
朝が来て、
太陽は昇って、
坂道で
先輩に会う。
細い体で、
重そうに荷物を持って。
先輩の手、
大きいな...。
何で、私がこんなに
欲張りになったんだろう。
会いたい。
話したい。
声が聞きたい。
触れてみたい...。
その、
大きな手と、
私の小さな手。
つながる日は
来るのかな...?
でも、後五日じゃ、
間に合いそうにナイよ。
勇気が欲しい。
結果はどうだっいいって、
思いたい。
でも、思えない。
とめどなく
溢れる
この気持ちを、
私は
まだ
言葉には出来ない。
怖いから...。
~水曜日~
今日、
テストだった。
テスト、
終わったら、
三年生より早く帰るんだ。
いつもなら、
早く帰りたくて
休憩時間に
帰る準備すんの。
ご飯食べて、
先生とさよなら。
掃除に入る、
三年生。
いつもなら、
私も掃除するのに。
掃除終わったら、
先輩見れるのに。
今日は一回しか、
先輩を見れなかったよ
寂しい...
ご飯の前、
保健室で
爪、切った。
伸ばしてた
爪。
テスト中、
鬱陶しくて
剥いちゃった。
本当は、
先輩からもらう予定の
第二ボタン、
もらうときに恥ずかしくないように
伸ばしてたのにね。
慣れない
爪きり。
変な形。
こんな手じゃ、
先輩に
ボタン
もらえない。
恥ずかしいじゃん。
まあ、
貰う予定なんて、
最初から
全く無いんだけど。
痛い。
切りすぎた、
爪が痛い。
バカだ、
私。
形の悪い爪。
変な、
私の爪。
中指の
爪が
割れた。
~木曜日~
掃除前の
五分間。
いつものように
グラウンドを見る
風が吹く
砂が飛ぶ
先輩は、
...居ない。
今日と
明日は
掃除なしの
四時間授業。
毎日のように
見る
先輩の姿が
今日はなくて
気持ちが込み上げて
涙が浮かぶ。
明日も
先輩の姿は
ないのに...。
こんなに
寂しくて
哀しくて
辛いのに...
こんな
毎日が
これから
ずっと
続くなんて
想像
出来ない、
したくない。
辺りを
見渡しても
三年生の
姿はなくて
先輩の
姿も無くて
私の
思いだけが
ここに
立ち止まっている。
行かないで...
行かないでよ...
ねぇ、
先輩...。
まだ、
私、
先輩に
言えてないコト
いっぱいあるのに...。