残された気持ちダケ…

卒業
【一週間前】
~月曜日~

今年も
この季節がやってくる。

キレイな花が
つぼみを開く…。

涼しくなってきて

よく眠れる。

嫌いじゃない、春。





今年は、
大嫌いな、春。
卒業式の練習なんてしたくなかった。

前には、三年生が座ってる。

何でだろう…涙が出そうだよ…。


もう、
後一週間。

一週間で、
この校舎から
先輩が居なくなる。

廊下にも、
階段にも、
外にも…

居なくなる。

来週の、
今日から…

私は何をしに
学校に行くんだろう。
先輩に
今日はあんまり
会えなかった。

寂しい。

一日会えなかっただけで
こんなにも
辛いのに…。


どうすれば
私は
先輩とずっと
一緒にいる事ができるの?


部活が終わって、
下駄箱をチラ見。

左から四番目の、
二段目が
先輩の靴箱。

あるのは
スリッパだけ。


いずれは
このスリッパさえも
無くなるんだね。
先輩が笑ってる。

先輩がボーっとしてる。

先輩がうとうとしてる。



先輩が、また笑ってる。

笑ってる...。

笑ってる...。

先輩が、好き。

先輩が、大好き...。


私、
先輩が
怖いくらい
大好き...。




桜、咲かないでよ…。
今年も、キレイな桜が
蕾を開く…


先輩、
行かないで...
会えないなんて
耐えられない

コワイくらい、
先輩が
好きだよ...

私も、一緒に
行きたいよ...

ねぇ...
私は
どうすれば良いの?
~火曜日~

今年の桜は
卒業式には
間に合わないんだって。

私が咲くなと
願ったからかな...?

桜が咲かなくても、
春は来る。

あの日は、
来る。

なのに、
私の気持ちも
間に合いそうにないよ...。


私、
先輩からは、
卒業出来ない。

桜が咲いても、
向日葵が咲いても、
コスモスが咲いても、
何も咲かなくっても。