ユミとは昔から知り合いだった。

隣の家のお姉ちゃんみたいに思っていた。

優しくて、ときどき 近所で出くわすと楽しい話をしてくれた。

うるさいヤンキーを一発でノックアウトした話。

しつこく付きまとって求愛してくる男を 一発でノックアウトした話。

いつもユミは喧嘩の話ばっかり俺にする。

同じ内容ばっかりなんだけど、別に嫌じゃなかった。

むしろ羨ましいって思った。

俺とは大違いなんだから。

内気でいつも下ばっかり向いてるし、跳び箱は一度も跳んだためしがない。

ユミはそんな俺にとって憧れだった。

決して近づいちゃいけない。

だって、俺なんかとは全然比べものにならないくらいの素敵な人。

言わば高嶺の花なんだ。

あの時まではそう思ってた。