ユミは驚いたに違いない。

フユミとナツの間で 手を繋ぐ男に。

頭はワックスとヘアーアイロンで、ガッチリ固まりフワフワ浮いている。

上も下も黒いスーツ。

白のワイシャツ、そして赤と黒のチェックで薔薇があしらわれたネクタイ。

完全に、どの角度から見ても俺の面影は残っていない。

「ごめん遅れた」

俺が息をきらして言うと

「はい。大丈夫です‥」

唖然としながら首を傾げながらユミは呟いた。

フユミとナツはそれを見て遂に笑い出した。

それに連られて俺もユミも笑った。

なんか、俺を見るユミの視線がいつもと違った。