「今日は。吉本愛ですが、零崎信さんでいらっしゃいますか?」予想済みな顔がしている。

印刷した地図と手持ちの僕の写真を見ている彼女は簡単な自己紹介をした。

普通の小美人。薄く微笑んで、優しい子だと思う。

「はいはい、どうぞお入りなさい。」アパートのドアを開け、自分の部屋を完全に人に見せた。
なんか恥ずかしい。

部屋に女性が入ったのは始めてだし。
人の部屋を見ると、大体この人はどうやって暮らしているのが分かってくると思う。

「信さんは部屋を綺麗にしているね。」
やっぱり。
「あーありがとう」そいう生活感を溢れている会話のやり取りが難しい。

「お座りなさい、コーヒー淹れるから。」僕はコーヒーメーカを置いていたテーブルの前に立って、ブラジルコーヒーを作り始めた。

「あーすごい種類。信さんはコーヒー好きなんですか?」彼女は静かに待つではなく、立ってて彼方此方見ている。

「うん、あんまり趣味がなくて、これしか。ブラジルっていい?」って言いながら、ミルクを多めに入れた。

小さい妹がやってきたって感じ。

「あー信さん、向こうの部屋をこっちからよく見えるけど」彼女は驚いたように声を上げてそういってた。

「うん、いつもそうだよ。慣れたじゃない?」

「あんな美人なのに?危ないと思うけど」

「何が?」

「何となく。とにかく、自分の生活を丸ごとで人に見せるなんて理解できない。男じゃないし。」

「寂しいからじゃない?」そう言っている僕はコーヒーの真ん中を見ていた。

傷。

その字が勝手に頭に浮かべた。