それから、食器とお粥を向こうまで運んだ。
彼女はもう起きて、顔を洗った。

化粧のない彼女を見て、距離が抜かれたような気がする。
そして彼女と一緒にお粥を食べた。

キュウリとお肉を入れた塩味のお粥。
初対面の人から持ってきたものを食べるなんてどんなに信頼しているのかなー
どんな勇気が要るのかなー
とにかく、自分も同じ容器から同じものを食べるようにした。

「二人で夕食を食べるなんて、久しぶりですね。」僕は一生懸命話題を作った。

彼女はこの言葉で、少し頭を上げて、唇に微笑みが戻ってきた。
「零崎さんは優しい人だね。」

「うん。」

「うんって何。」彼女はやっと笑った。
回復したばっかりの彼女は、盛れたお花のように。

何となく、特別な一日だった。
彼女のことをもっと知りたくなった。
今の所、ビール女は「相川愛」になった。
愛。

誰にとっても欠かせないものだ。

愛。