「みやび…、深也美だわ。 ここにいたのね?」 意識を取り戻した恵深は私を【みやび】と呼ぶ。 「私はハルよ…。」 言葉の端々が震える。 私の頭で、ある光景が断片的に思い出される。 急に頭痛がし、息が出来なくなる。 『私、パティシエになりたい』 そんな言葉が頭に浮かぶ。 その時の光景が目に浮かぶ。 目の前が歪み、体が浮く。 最後に見た光景は、恵深の顔。 心からの笑顔だった。