少し空気が揺れる。
外界の空気が流れ入ろうとしている。
【ガラガラガラ】
教室の引き戸が開かれた。
「馬飼(ウマカイ)先生。
卒業生の貴方は
知っているかも知れないけど、
ここは…」
「知っています。
私は同級生でしたから。
この教室の封鎖の理由も…」
馬飼先生と呼ばれた人が私をジッと見る。
すると、その人が言う。
「校長、ありがとうございます。
後は私一人で大丈夫です。
手間をおかけして
申し訳ありません。」
校長と呼ばれた人は心配そうに振り返りながら、立ち去る。
再び、私は視界を移す。
今年の桜はとっても綺麗。
一気に花開き、雨にも降られることなく、風によって散ろうとしている。