美紅が大きな目をさらに大きくして、俺の腕の中に納まる。



「悪かった、美紅。ごめん、俺…」



謝れば、許してもらえると思っていた。


謝れば、何とかなると思っていた。




けれど…――― 。


「離してください」


美紅の声とは思えないほど、冷ややかな声。

小さな唇からその言葉が発せられたことが、しばらく信じられなかった。



俺が恐る恐る美紅から離れると、


「…すいません」



美紅が深々と頭を下げる。


どういう意味を持って美紅がそうしたのか、全くもってわからなかった。