「言われなくてもわかってるよ!」


言いながら走り出した俺の背中に降りかかる、杉原の声。




「美紅ちゃんによろしくぅ~」


なんであいつ、美紅のこと知ってんだ?

…あんな派手なことばっかりしてたら当たり前か。



構内を走りながら、美紅のことばかり考えていた。


どうしよう、キライだと言われたら。


どうしよう、別れようと言われたら。





美紅は、意外とすぐ近くにいた。


時間からして、もっと遠くにいると思っていたのに。



「美紅っ!!」


俺に背を見せて歩いていた美紅の腕を、ぐいっとつかんで引き寄せる。