うっすら目を開けると、鏡張りの天井に映る、自分の姿が目に入った。
さっき会ったばかりの男の下にいるあたしは、なんだかとてもみじめな顔をしていた。
――『天井に鏡があるラブホって、隠しカメラ仕込まれてるんだってさ』
ふと、中学の時、クラスメイトがうわさしていたその言葉を思い出す。
ほんとなのか、ただの都市伝説なのかはわからないけど、当時のあたしたちはそんなうわさ話に花を咲かせていた。
……だとしたら。
もし、あのうわさが本当なのだとしたら、この天井にもカメラが仕込まれているんだろうか。
ぐちゃぐちゃになった頭で、あたしはくだらない妄想を始める。
今、あたしのおろかな姿はしっかりとカメラに収められ
ビデオなんかで売られちゃって
それを見知らぬ男たちが手に取る。
……それでもいい。
それでもいいんだ。
あたしの知らないところで、知らない人が、このおろかな行為を笑い、蔑み、罰を与え
そしていつか、終止符を打たせてくれる?
限界が近づいたリョウさんの下で、あたしは激しく息をした。
この一瞬だけ、あたしは確かに満たされていた。