あたしは返事をする代わりに、リョウさんの唇を割って舌をからめた。


かすかに残るビールとテキーラの味が、唾液と交じり合って、新しい味を生んでいた。



彼女さんはどうするの? とか

あたしには彼氏がいるから、とか


そんな言葉は微塵も浮かばない。



あたしもやっぱり普通じゃないんだろうか。








久しぶりに利用したラブホテルは、ひどく居心地が悪かった。


バカでかいベッドに、ふたり掛けのソファ。

ガラス張りのバスルーム。


そのどれもが排泄行為のために存在しているようで、趣味が悪いったらありゃしない。



別々にシャワーを浴びた後、まるで急ぐようにベッドにもぐり込んだ。



キスして、愛撫して、濡れてきたら、入れて、動く。


他の人とするのと、何も違わない。


客とするセックスも

コウタロウとのセックスも。



この、バカみたいな行為を、飽きずに繰り返してあたしはおぼれる。



満たしてくれる人。


手を握ってくれる人。


もしかしたらこの人がそうなんじゃないかって……。



繰り返しては、ただ堕ちてゆく。




早く……



……誰か。