「長かったね、トイレ」
「そうですか? 女はいろいろすることがあるんです」
「何してたの?」
「ひとりエッチとか」
真似して余裕の笑みで答えたら、リョウさんは思い切り吹き出して笑った。
「マジで? さくらちゃん面白すぎ」
「だってさっきから皆、下ネタばっかり言うから。そりゃあ興奮もしますよ」
「そうだよねー、皆お下品なんだから」
「てか、一番下ネタ多かったの、リョウさんですよ」
「そう? ごめんごめん」
あたしは何を言ってるんだろう。
彼が誘いやすくなるような会話を、わざと振っている。
案の定、リョウさんはあたしの腰に腕なんか回しちゃって
「興奮させた責任取るから、ふたりで出よっか」
……甘ったるい、作り物の声でささやいた。
キスされながら、あたしは横目でミカたちの方を見た。
人の影になって見えにくかったけど、ミカとリョウさんの彼女は、すっかり酔って盛り上がっているようだった。