2階は小さめのカウンタースペースがあるだけで、あたし以外の客は3人。
スタッフを含めても5人。
少しは落ち着いて酒が飲めそうな雰囲気だった。
あたしは迷わずにビールを頼み、グラスの半分くらいを、一気に流し込んだ。
すぐにおかわりを注文し、ポテトチップスをつまみながらぼんやり飲んでいると、1階から聞こえていた音楽が急に静かなものに変わった。
どうやら、“リョウさん”の出番は終わったらしい。
しばらくして、ミカがらせん階段を上がってきた。
「さくらー、やっぱここにいたんだ」
やたらハイテンションなミカのかたわらには、例の鼻ピ女。
そして、謎のヒゲ男。
誰だよこいつ、と思っていると
「リョウさんも連れて来ちゃった」
とミカ。
あぁ、これが鼻ピの彼氏の“DJリョウさん”ね。
興味無いから、さっき顔も見なかったよ。まったく。
軽く会釈すると、リョウさんは慣れた様子で愛想笑いをして、同じように会釈した。
「あたしたち、小学校からの親友なんですよ」
ミカが口を挟む。
「へー、すごいね」
とリョウさん。