「ラブホ来たの、久しぶりなんだよね」
タバコの煙と一緒に、そんな言葉を天井に向かって吐き出したら
隣に転がっていた裸の男は
「マジで?」
とまゆげを上げた。
「うん。あたしも彼氏もひとり暮らしだから、どっちかの部屋ですればいいんだし……」
客もあたしの部屋に呼んでるしね。
と心の中で続けながら、あたしはタバコを灰皿に押しつけた。
「たまにはクラブでパーッと騒ごうよ。」
そんな風にミカが誘ってきたのは、大学からの帰り道だった。
騒ぐことには興味は無いけど、無類の酒好きのあたし。
アルコールの飲める場所なら、たいていの誘いは断らない。
そのままミカと一緒にあたしのマンションに帰宅して、クローゼットから露出度の高い洋服を、二人分引っ張り出した。
「久しぶりじゃない? さくらの服借りるのって」
「うん。高校の頃は夜遊びのたびに貸してたよね」
「だってうちの親厳しいからさ、肩は出すな脚は出すなって、うるさいんだもん」
ミカはだらしなく口を開けて、大げさにため息をつく。