……スタッフの言う通りレオは不在だった。
女の所へ行ったんだ。
当然のこと。
そう、何も驚くことじゃない。それが、彼の仕事なんだから。
「オール……ナイト」
タバコのフィルターを前歯でかみながら、あたしは独り言をつぶやいた。
「やだな、あいつ、しっかりもうけてんじゃん」
ひとりでクスクス笑いながら、カーテンの端を握る。
「チケット代くらい、どうってことない……」
タバコはすでにちぎれそうなくらい、よれよれだった。
スタッフがまた面倒臭そうに頭をかいて、デスクに戻るのが見えた。
あたしはそっと、カーテンを閉めた。
レオは今夜、あの事務所には戻らない。
今夜はどこかで女を抱いて寝る。
レオのことをお金で買った、どこかの女と。