レオは、ふーん、と鼻で答えてから、言葉を続けた。
「用事って?」
「えっとね、コウタロウ…彼氏と旅行することになったんだよね」
「いつから?」
「だから、日曜から」
「じゃ、大丈夫だ。行けるよ」
「はい?」
「格闘技の試合は、ホントは土曜なの。
どうせさくら、何か理由つけて断ってくるだろうと思ってさ、ちょっと罠かけさせてもらいました」
「はいぃ!?」
思わず大声で叫んでしまうあたし。
「行くよね、土曜」
見えるはずのない受話器の向こうで、レオがにんまりと満面の笑みを浮かべた気がした。
そして土曜。
ほぼ強制的に、あたしは自宅からすぐの場所にある駅で、レオと待ち合わせすることになった。