急に名前を呼ばれ、あたしは少し戸惑った。
「……なんで、あたしだってわかったの? 番号知らないくせに」
「んー、そろそろかかってくる頃だと思って」
「……そう」
電話のレオは、実際に会って話すよりさらに幼く思えた。
まるで女性の声優さんが演じる少年のように、高くてよく通る澄んだ声。
いざレオの声を聞くと、誘いを断る勇気が揺らいでしまう。
いやいや、頑張れあたし。
ハッキリ言えばいいんだ。
やっぱり興味ないから行かない、って。
「あ、あのさ、日曜なんだけど……」
「ん?」
「よ、用事が出来て行けなくなっちゃったんだよね、ゴメン」
おい、あたし。
何嘘ついてんのよ。
無意識に口をついて出た嘘に、自分自身が驚いた。
……なんか、調子が狂ってしまう。
この子と接していると。