「でもさ、絶対にまた会える」
大好きなレオの丸い瞳。
あたしを見て、やわらかく微笑んだ。
「だって俺……お前を失う気が全然しないんだよね」
その声と共に、あたしはレオに抱きすくめられた。
「どのくらいの時間が必要なのかはわかんないけど
全部けじめをつけて、俺が本当にさくらを守れるくらいの男になったら……迎えに行くよ。
そしたら今度こそ一緒に与那国の夕日を見て、それからふたりで暮らそう。
誰も俺らのこと知らない土地で、静かに暮らそう」
……よどみなく、月の光のように穏やかに
あたしの耳へと届くレオの声。
「その場所での俺らは、最初は透明人間みたいに、誰にも気づかれないかもしんない。
けど、そこで生活して
そのうちいろんな人たちと関わり合って
助け合って
俺らは確かにそこに存在していって」
……そう。
おとぎ話を読んでくれた、お母さんを思い出させるような声。
「そのうち子供なんか生まれて」
ひとつ……。
「近所の悪ガキたちと遊ばせてさ」
ふたつ……。
「休みの日は家族で出かけたり、子供の運動会のビデオ撮ったり」
まるで、大切な宝物をしまうかのように、そっと。
レオの唇からつむがれていく……夢物語。