――『俺を信じて』
昨夜、レオが言った言葉を思い出す。
信じてって、言ったくせに。
さくらはきっと幸せになる、そう言ったくせに。
あれは別れの言葉だったの?
貴方なしの世界で、どうやって幸せを見つけろと言うの……?
「あたしたちは……あたしたちは最初から、一緒にいられたわけじゃないんだよ?」
座りこんだひざの周りで、波に揺れる無数の砂がたわむれ合う。
「あたしたちは……」
せっぱつまる気持ちとは裏腹に、言葉はうまく出てこなくて
「逃げようって誓ったあの時に……やっとふたりになれたんだよ!?」
……伝えることが下手なのは
これほどまでに人を求めたことが、今までなかったから。
あたしはレオの手を握る。
無力なあたしには、もうそれくらいしかできなくて。
ねえ……
離れるくらいなら、こんなに愛したりしなかったよ……。
「さくら、聞いて」
レオはもう一度そう言うと、あたしの肩をつかんだ。
「俺が東京に戻れば、確かにそれなりの罰が待ってるかもしれない」
「……」