「やっべー! 気持ちいい! さくらもやってみろって」
あまりに無邪気に誘うもんだから、なんだかあたしもやんちゃ心に火がついて、
……バシャン!!
そのまま頭まで浸かってやった。
ゆらめく水中の世界。
全ての音が無になって。
……あ。
レオの、顔。
海の中で抱きすくめられて、深くキスをする。
空気を欲して震える体に、レオの熱い息が流れこんだ。
しょっぱいキス。
だけど、どこか甘い。
あたしたちは服のままということすら気にせず、いつまでも海で遊んだ。
時々、道路から不思議そうに見ている人がいたけど、そんなのどうでもいいくらい楽しかった。
子供の頃の楽しい時間って、確かこんな感じだったな。なんて、ふと思う。
いつまでも飽きることがなく、楽しいことだけを繰り返していた、あの頃。
気がつくと夕方だった。
空が橙に染まり、石垣島を思い出させた。