真っ白な入道雲がもくもくと、水平線から顔を出している。
浮かれた若者の運転する他府県ナンバーの車は、ビーチの方へと列をなしている。
いよいよ夏本番という感じの光景だった。
「これじゃ海水浴場が混雑するのも仕方ないよね」
そんなことを話しながら、あたしたちはいつまでも、海岸沿いを歩いた。
すると、さっきのビーチほどきれいとは言えないけれど、人気のない小さな小さな砂浜を発見した。
「プライベートビーチだぁ!」
お目にかかれないと思っていた分、嬉しくて飛び上がる。
あたしはレオを放ったらかして、さっそくその砂浜に下りた。
走りながらサンダルを脱ぎ捨て、バシャバシャと波打ち際を進む。
波は押し寄せるたび、あたしのひざを濡らし、次の瞬間には足もとの砂を引き連れて海に還っていく。
「気持ちいいーっ。水着持ってくればよかった」
「そのまま入ればいいじゃん」
いつの間にか同じようにひざまで浸かっていたレオが、あっさり言った。
「そのままって、服のまま?」
「そのとーり」
答えると同時に、レオはまさに服を着たままの姿で、波に体を投げだした。