「レオ……」
まるで魂を引き抜かれてしまったみたいに、呆然と立ち尽くすだけの彼を見る。
そっと寄りかかるようにして抱きつくと、レオはその体重を支えきれず、壁に背中をあずけて崩れた。
「……さくら、ごめん」
光のない目でつぶやく。
「ごめん、俺……ごめん」
他の言葉を忘れてしまったかのように、何度もごめんとつぶやく。
幸せに……
やっと、幸せになれると思ったのに。
「大丈夫だからっ」
あたしはレオの頭を引き寄せ、自分の胸もとに押しつけた。
「あたしが……あたしがレオを守ってあげる!」
鋭く吐いた熱い息が、レオの髪を揺らす。
この髪の1本1本まで、あたしが守るよ。
だからレオは、あたしの手をつないでいて。
すぐそばに確かに見えている、底のない闇へと吸いこまれないよう
手をつないでいて……。