子供の頃

寝る前にお母さんに読んでもらった物語には


きれいで優しくて

そしてかわいそうなお姫様が登場した。




お姫様は魔女にだまされ

怪物にさらわれ

塔のてっぺんの狭い部屋でとらわれの身になって。



だけど最後は王子様が助けてくれるから

あたしは安心して、絵本を閉じることができたの。




おとぎ話を信じていた時代が、あたしにもあった。


どうしてそれを、今頃思い出したのか。




だけどもう遅い。



あたしたちは汚れてしまった。



汚れてしまった。