もつれる足を必死に動かし、ずいぶん走った。
ビルの裏に逃げこみ、あたしたちは足を止めた。
「……ハァッ」
ガタガタと震える手は固まり、レオの腕を離すことができない。
ふと、バッグからはみだしている卒業文集が目に入った。
その瞬間、あたしの背筋が凍りつく。
……血。
飛び散って、文集の端っこに付着した、コウタロウの血。
「あ……アァ……ッ」
あたしはひざから崩れ落ち、声にならない悲鳴を上げた。
「やァーッ!」
それはまるで
あたしたちに目印をつけるかのような、深い赤。
そう……。
あたしたちが透明になれるはず
なかったんだ。