あたしはさらなる笑いが込み上げて止まらなくなった。
なんとまあ、こっそり観察していたつもりが、知らない間に自分も観察されていたなんて。
レオは窓枠についたほこりを指でなでながら言った。
「美人のお姉さんがたまに裸でいるもんだから、最初は興味本位でついついのぞいちゃって」
「裸なのは、自前の服とか下着を客に触られたくないからよ」
「そうなんだ。俺、何度も脱ぐのが面倒臭いからだと思ってた」
「それもあるかもね」
「俺も服なんかいちいち着たくないんだよねー」
そう言ってレオが服のすそに手をかけた時、彼の携帯がピルピルピル~と陽気な音をたてて鳴った。
「はい、はい、コンビニ行ってました、すんません、ヤンジャン買ってすぐ戻ります」
なんて話してからレオは電話を切り、あたしの体にバスタオルをかけた。
「もう戻るわ」
「そう」
「また来てもいい?」
「いいよ。あたしも、またストーカーしていい?」
レオは何も言わず、代わりにあたしの肩をポンと叩いて、笑った。