「レオ」


「ん?」


「美人局がしたかったのはわかったけど、じゃあどうしてあたしを選んだの?
あたしはあんたの彼女でも奥さんでもないのに」



レオはあたしを見ずに、財布の中の小銭を手のひらに転がしながら言った。



「俺って出張ホストなのね。で、向かいのマンションに事務所があるんだけどさ」


「知ってる」


「あ、知ってるの?」


「目だけでストーカーしてたから」


「じゃあ俺と一緒だ。俺も暇な時、お姉さんのことを目だけでストーカーしてた」


「そうなの?」


「うん」


「じゃ、あたしがバイシュンしてるってことは?」


「もちろん知ってる。同業じゃん」