「だってさ。ツツモタセってさ、美人の局って書くんでしょ?
俺、頭悪いから昨日まで知らなくて。
ひとつ漢字知って賢くなったなあって思ったら嬉しくて、どうしても自分でやってみたくなっちゃって」
「……何その理由」
けどやっぱりダメだよ、ともう一度説教すると、レオもさっきと同じように、もう一度「うん」とうなずいた。
「ねえ、レオ」
「何だよ、レオって」
「あんたの名前よ」
「あっそ」
レオは、どうでもいい、といった感じで、ソファに腰を下ろした。
こうして間近で見ると、本当にきれいな男の子だとしみじみ思った。
私の手のひらで隠れそうなくらいに顔が小さくて、その小顔を黒目がちの瞳が占領している。
余白が少ない、とでも言おうか。
レオの髪は色素を失ったみたいに、日本人離れした色だった。
隣でまじまじ見ると、白に近い金色だと思った。
「外国人なの?」と聞きたかったけど、「染めてるよ」と言われたらあたしはきっとガッカリするだろう。
そう思い、質問はやめておいた。