「あーあ、こんなに濡れて。傘も差さないでどこ行ってたんだよ。
昨日から携帯もつながらないし、心配したんだからな」
コウタロウはあたしの髪についた雫を手で払いながら、顔をのぞき込んでくる。
「……心配しないで」
「ん?」
「心配、しないで」
うつむいたままそう言うと、コウタロウはしばらく黙ってあたしの肩を抱いた。
「とりあえず、部屋行こう。そのままじゃ風邪ひくから」
子供をあやすような態度で、コウタロウはあたしを部屋まで連れて行く。
コウタロウは脱衣所で手際良くあたしの服を脱がすと
「温かいコーヒー用意しとくから」
そう言って、いつも通りの笑顔で出て行った。
「………」
あたしは勢い良くシャワーを出して、雨のせいで冷え切った体を温めた。
心地いい温度があたしを包んだ。
お湯は首筋から鎖骨を伝い、胸もとを通って落ちていく。
今まで、何人の男に触られたかわからない、この体を