どうやって空港から帰ってきたんだろう。


マンションの前にたどり着いた時にはすでに夜で、レオと別れてから2時間近く経っていた。



夕方から降り始めた雨が冷たかった。


本当に空っぽになると、傘を差すのすら面倒になるのだと初めて知った。



ずぶ濡れのあたしを、すれ違う人たちが警戒しながら見ていた。


まるで、安っぽいドラマみたいだ。


あまりに滑稽すぎる自分の姿に、笑いさえ込み上げてきた。





マンションのエントランスで、あたしは思わず足を止めた。


管理人のおばさんと親しげに立ち話しているコウタロウの姿があったから。



「あ! さくら!」



コウタロウはあたしに気づき、管理人に会釈してから走り寄ってきた。



「部屋に行ったら留守だったから、さっきまで管理人室で待たせてもらってたんだ」


「そう……」