あたしたちは一晩中、何も話さなかった。
ただ、つながれた手だけが熱かった。
その部分が、すごく愛しかった。
抑えていた気持ちがどんどんあふれそうになって、あたしは必死でこらえた。
本当は、もっと触れたくて。
好きで、好きで、どうすればいいのか、わからなくて。
好きすぎて――泣きたくなる。
あたしは強くまぶたを閉じた。
……痛いなあ。
愛しさって、どうしてこんなに痛いんだろう……。
「当機はまもなく着陸態勢に入ります。座席のベルトを……」
あっという間に、東京に戻ってきてしまった。
飛行機から見える景色が、だんだん騒がしいものに変わっていく。
まだ夕方にもなっていないのに、街は人工の光を灯し始めていた。
あたしはレオの手をきつく握った。
軽い衝撃と共に、飛行機が滑走路に着陸する。
レオの乾いた手が、するりと指の間を抜けていった。
夢の時間は、もう終わったんだ。