……で、いったい何が起こったのか。
あたしはおしめのポーズのまま、顔によく似た天井のシミをひたすら見つめ続けた。
レオはあたしにおかまいなしで鼻歌なんか口ずさんで、客の財布の中身を数えている。
そしてその中から万札を1枚取り出して、あたしのおなかの上にのせると
「ツツモタセ」
と、無邪気に笑った。
「ああ……そう、ツツモタセね。……うん」
虫の羽音みたいな小さい声でそう言うと、だんだんあたしは体の力が抜けてきて
ついでに笑いも込み上げてきて
「……わけわかんない!」
おなかを抱えて笑った。
「でもダメだよ、犯罪なんだから。もう二度としちゃダメ」
笑いながらも年上ぶって注意すると、レオは一応納得したみたいにうなずいて
それからひとりでペラペラしゃべり出した。